家族信託の基礎

━━━━━ 2019/03/20(第378号)━━

■実践!相続税対策

 知っているといないでは大違い!
 基本を理解し時間をかけて対策しよう

 by 東京メトロポリタン税理士法人
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『家族信託の基礎』

●おはようございます。税理士の利根川裕行です。

家族信託という言葉を聞いたことがある方は、意外と多いのではな
いでしょうか?

信託という言葉を聞くと、証券会社の商品をイメージしてしまいま
すが、そうではありません。

家族信託は、財産の所有者が、財産の管理・処分を、身内等にお願
いするような場合の、信託の俗称をいいます。

一般的には、財産の所有者が親で、財産の管理・処分を子に託すよ
うな、家族間での信託契約となります。

                  
●家族信託を説明する場合の、主な登場人物は3名です。

 なお、管理・処分を託す財産を信託財産といいます。信託財産が
 不動産である場合を想定して、ご説明していきます。

 ・委託者(信託財産の所有者)
 ・受託者(信託財産の管理等を行う者)
 ・受益者(信託財産から生じる利益を受け取る者)

●不動産の所有者は、不動産の名義人であり、その不動産から得ら
 れる利益を受ける権利を持ち合わせています。

 信託することで、この名義と利益を分けられるところに、信託の
 特徴があります

●父親が所有する賃貸不動産について、管理・処分を長男に託す場
 合を例にみていきます。

 賃貸不動産の名義は父親であり、賃貸料収入を得る人も父親です。

 信託をすることで、賃貸不動産の管理・処分を託された長男に、
 その名義は移ります(信託財産として登記されます。)

 しかし、賃貸料収入は、従来どおり、父親のままとすることも可
 能です。

●家族信託の活用例の代表として、認知症対策が挙げられます。

 通常、不動産の所有者である父親が認知症になった場合、生前に、
 その不動産を処分するようなことは困難です。

 しかし、家族信託を活用すれば、受託者に名義が移っていますの
 で、生前に、受託者が不動産を処分することも可能です。

 当然、勝手に処分することはできませんので、信託契約書に売却
 するための内容を盛り込む必要があります。

 その処分の際の利益は、父親に入ることにすることで、父親の生
 活資金に充てることも可能となります。

 
●家族信託を活用した場合の、税務上の取扱いを簡単に見ておきま
 しょう。

 まず、財産の管理を任された受託者は、信託財産が不動産以外の
 場合は、課税関係は生じません。

 信託財産が不動産の場合、所有権移転登記の必要性から、登録免
 許税がかかります。

 信託を取得原因とする場合の登録免許税は、通常の1/5に軽減され
 ます。

 なお、不動産取得税はかかりません。

 
●委託者と受益者が同じ方である場合も、信託契約(名義変更)時
 点での、課税関係は生じません。

 委託者と受益者が異なる場合には、信託契約(名義変更)時点で、
 受益者に贈与税が課される可能性があります。

 たとえば、父親所有の賃貸不動産の管理を長男に委託し、その不
 動産からの賃貸収入を母親が得る場合です。

 家族信託契約と同時に、母親は、賃料収入を得られる権利を取得
 したことになります。

 つまり、利益を受ける権利を贈与により取得したと考えられるの
 です。

●実務上、家族信託を利用する目的にもよりますが、委託者と受益
 者が異なるケースはあまりありません。

 正直、家族信託を利用することで、相続税法上のメリットはあま
 りないということになります。

●家族信託の活用につきましては、代表的な例示を挙げたに過ぎま
 せん。

 また、家族信託については、信託契約書の内容がとても重要にな
 ります。

 家族信託の活用提案や信託契約書の作成については、一般的には、
 司法書士が得意とする分野です。

 家族信託についてご興味がある方は、私どもにご相談いただけれ
 ば、信託を得意とする司法書士をご紹介することも可能です。

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【編集後記】

今月初旬に、三鷹市主催の空き家対策セミナーに税務相談員として
参加してきました。日曜日ではありましたが、市長挨拶があったり
市役所の担当者が来られていたりと、空き家対策に力を入れられて
いる感じを受けました。個別相談の件数も多かったため、確定申告
時期ではありましたが、精神的に救われました。

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